心臓病の為、暫くお休みを頂戴しておりました。来週も検査がありますが、もし検査の結果が悪ければ、手術をしなければなりません。湘南の魔女まもりんさんや、れいじ、その他読者の方々にはすっかりご無沙汰をして申し訳ございませんでした。銀座のバー白カラス亭もまた開店しますが、来週の検査結果ではまたまた、休業の可能性もございます、何卒宜しくお願い申し上げます。
さて、前回までのストーリーでは、全てが夢の中だったのだろうか?訳もわからず、ちぐはぐな問答が朝比奈玲子と交わされた。ニューハーフの富ちゃんは僕等の顔を交互に見ていた。
その時、白カラス亭の自慢のドアがゆっくりと開いた。痩せて長身の青年が入って来た。僕は顔を見て、声を上げた。
「あ、あ、あ、あんたは、あんたは・・・・・・・・!」
なんと、あのガクト似氏の青年が入って来たのだ。
「れ、れ、れ、玲子ちゃん、あのお、お、男だ・・・・君を振った、袖にした・・・・。」
僕はガクト似氏の男性に視線を置きながら、朝比奈玲子に言った。
「はぁ?・・・・ねえねえ、マスター、本当に大丈夫?・・・・一体何の事よ。」
玲子の疑問府だらけの声が僕の背中に返って来た。
僕は、背中を玲子と富ちゃんに見せながら続けた。視線はガクト似氏に向けていた。
「何言ってんの、何言ってんの、何言ってんのよ、玲子ちゃん。彼だよ、彼っ!と、と、富ちゃんだって見ていたろ!あの、あの、あの双子の・・・・。」
「え〜?・・・・何のことぉ?ね、マスターったら、何か変よ。」
富ちゃんが怪訝な顔をしたことが背中で判った。
カウンター超しに背伸びをした、小柄な玲子が片手で僕の背中をぽんっ!と叩いた。
「マスター、しっかりしろ!」
僕と玲子と富ちゃんのやり取りを、ドアを後ろ手に閉めた、ガクト似氏が低い声で言った。
「あのう・・・・お店開いてるんですよね?・・・・座ってもいいですか・・・何か取り込み中でした?」
僕は、ガクト似の顔をまじまじと見つめた。
ガクト似氏の青年はカウンターの椅子に座って、後ろを振り返った。勿論そこには壁しかない。それから、僕の顔と玲子の顔と富ちゃんの顔を順繰りに見た。
「あのう・・・・僕の顔?・・・それとも僕の後ろに何か・・・・。何だか気味悪いんですけど。」
「そうよ、そうよ、マスター変!・・・・お客様が驚いているじゃない。・・・・ご免なさいね、今日のマスター、何だか・・・そのう、さっきね、ソファーから落っこちて、少々頭を・・・その、ちょっと・・・。」
玲子がガクト似氏に余計な説明をした。
「あのう・・・折角ですが、僕帰ります。あ、何もいらないです。ど、どうも・・ご免なさい。」
ガクト似氏が長い脚を床に着け、カウンター席から立ち上がろうとした。
美青年が大好きな富ちゃんが、ガクト似氏の横にすぅ〜っと近寄って、袖をひっぱった。
「ねぇ、よろしかったら、こんな変な親父のお店より、私のお店にご一緒しませんこと?」
富ちゃんが妙にねばっこい視線をガクト似氏に送った。
「おいおい、富ちゃん。こんな変な親父の店はないだろう!」
今度は僕が憮然とする番だった。
ホイットニー・ヒューストンの寂びた声が再び有線から流れて来た。