2005年12月31日

白カラス亭奇談ー銀座のバー白カラス亭8

銀座3丁目ガス灯通りの真ん中にある、小さなバー白カラス亭もいよいよ賑わいをみせています。さて、銀座のデパートの女子社員3名がまた、とんでもない話を持ち込んできた。白カラス亭主人の眉間に皺が増えた。来年成人式を迎える黒ちゃんのところに来た客はまさにその筋の方らしい。

「あのね、そのお客さんね、瓶ビール呉って、仰ったんでぇ、何本ですか?って聞いたのね、そしたらぁ、お客さんね、黙って片手を出したのよ。カルーアミルクもう一杯頂戴!」

黒ちゃんが僕に状況を説明した。

「カルーアミルクなんて、どうでもいいから先を続けなさいよ!

一番年長の敬ちゃんが黒ちゃんを急かした。敬ちゃんのスティンガーオンザロックは既に空で、敬ちゃんは黙ってグラスを振りながら、僕にお代わりを要求した。

「うん、それでね、そのお客様の手をみたら、小指と薬指がすっごく短くなってたの、それでぇ・・・・。なんで小指と薬指が短いのか、あたし、直ぐには判らなかったのよ。」

「それは、小指と薬指を詰めたんだよ!

僕が黒ちゃんに言った。

「詰めたったって、何の事・・・・?」

「詰めたってのは、ヤーさんの世界で、不始末をしでかして、自分の組や親分の顔に泥を塗ってしまった時、その責任を取って自分の指を切り落とすんだよ。そのお客さん、たぶん二度不始末をしでかしたんだ。」

「手術したの。」

「違う、違う、違う。判ってないなぁ。自分で包丁とか匕首で切り落とすんだよ。」

「えっ!自分で自分の指切り落とすの?麻酔なしで・・・・・。うわぁ、うわぁ、それって痛そうじゃん。痛そう。ところで匕首って何?」

「ああ、もう何にも判ってない。この娘。アイクチってのは短刀の一種よ。それであんた、そのヤーさんに何て言ったの?」

また敬ちゃんが黒ちゃんを急かした。律ちゃんは黙ってグラスホッパーを唇に運んでいる。

「あのね、そのお客様にね、大瓶3本と小瓶2本ですね?って言ったの。」

「えっ、えっ、うわ〜、勇気ある発言!」

敬ちゃんと律ちゃんが同時に唸った

「う〜ん、それは確かに勇気ある発言だ。だけど、どうしてその勇気ある発言と僕が黒ちゃんと律ちゃんの叔父さんになる話が結び付くんだ?」

「うん、あのね、そのお客様ね、わたしの顔をしばらくじっと見てから、大きな声で、ゲラゲラ笑って『気に入った!あんたの名前を教えて呉。』って言うのよ。それで押していた乳母車に瓶ビール載せたの・・・。」

「ん?ちょっと待って、ちょっと待って。乳母車って何の事だ?そのヤーさん乳母車押して来たのかぃ?」

「そう、そう、言わなかった?乳母車押して来たんで、変なお客様って思ったのよ。」

「そりゃ変だよ。全く変だ。何で乳母車押していたんだ。」

「簡単な話よ。乳母車の中に可愛い・・・」

「赤ん坊?ま・さ・か・・・!」

「ううん、赤ん坊じゃなくって、可愛い茶色のトイ・プードル乗せていたの。」

「乳母車にトイ・プードル乗せて歩く指を詰めたヤーさん!」

僕は思わず手にしたグラスを落としそうになった。

黙って聞いていた敬ちゃんがスティンガー・オンザ・ロックをブーッと噴出した。

さて、この続きは次回です。

 

2005年12月30日

白カラス亭忘年会

昨日、銀座で忘年会をやった。二次会はカラオケ行って、家に戻ったのが午前3時30分だった。

我がワイフ殿からきつ〜く怒られた

ちょい悪ダンディ白カラス亭もワイフ殿には全く頭が上がらない

色々な年代が集まってカラオケやると、それぞれの年代で流行っている唄が良く判る。20代の好きな歌はオジサン世代には絶対に唄えない。歌詞が早くて舌噛んでしまう。

今晩もまた銀座で忘年会

今晩は銀座連合会3丁目支部会、銀座3丁目町会、銀三会の合同忘年会です。ちなみに白カラス亭がある銀座のバーもこの3丁目支部会と3丁目町会と銀三会とガス灯通り会に所属しております。

現実にはガス灯通り真ん中の焼き鳥屋さんの隣は煉瓦亭って明治からある洋食発祥の有名なレストランです。

間違っても白カラス亭はどこですか?なんて聞いたら失礼ですからご注意を。

銀座のバー白カラス亭8は今晩続きをアップする予定です。

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2005年12月28日

白カラス亭奇談ー銀座のバー白カラス亭7

銀座3丁目、ガス灯通りの真ん中にある小さなバー白カラス亭は今日も繁盛している。しかし開店時間から色々と騒々しい。今午後9時を回り、一番奥の席を除きカウンターは満席になった。敬ちゃん、律ちゃん、黒ちゃんの3人娘が話を始めたが、ちょっと様子がおかしくなった。

「白カラスさんに、お願いがあってきたんだ・・・。

来年成人式を迎える一番若い黒ちゃんが僕の目をみながら小さな声で言った。

「ああ、いいよ。僕でできることだったら・・・。金と喧嘩は駄目だよ。金は無いし、力もないから、喧嘩はからっきし弱い。」

顔一杯をくしゃくしゃにして僕は皆に愛嬌を振りまいた

「わたしもなの・・・・。

「ええっ、律ちゃんもかい?

「ええっ、そ〜んな。二人ともわたしにはな〜んにも言わなかったじゃないのさ。

一番年長の敬ちゃんが二人を睨んだ。目が怒っている

「ま、兎も角二人の話を聞こうじゃないの。おっと、その前に何飲むんだっけ。え〜と、敬ちゃんがスティンガーオンザロック、律ちゃんがグラスホッパーね、で黒ちゃんが・・・」

「カルーアミルク。」

「あ、そうか。そうか。カルーアミルクだったね。」

僕は三人の食後のカクテルを出しながら、黒ちゃの話に耳を傾けた

「実はね、実は・・・そのぅ、白カラスさんに、わたしの叔父さんになって欲しいんだ。ちょっとの間でいいから。」

「そうなの、わたしの叔父さんにも・・・

「ちょちょ、ちょっと待て。黒ちゃんの叔父さんでもあり、律ちゃんの叔父さんでもあると言うことは、二人はこの際・・・姉妹かなんかになっちゃうの?

僕は訳が判らずに、慌てて黒ちゃんと律ちゃんの顔を交互に見た。二人とも真面目な顔をしていた。どうも僕をからかっている様子はない。

「うん、早い話がそうなんだ。」

「敬ちゃんには未だ相談してなくてぇ、相談する前に此処に来ちゃった訳。」

律ちゃんが謝るように敬ちゃんを見た。

「二人ともいい加減にしなさいよ。白カラスさんが困ってるじゃないの。」

一番年長の敬ちゃんは、白けていた。子分同様の二人から、事前に理由を知らされてない屈辱感が見て取れた。

「ま、いいから話してごらんよ。どうして僕が黒ちゃんと律ちゃんの叔父さんにならなくちゃいけないのか。

「有難う白カラスさん。」

一番若い黒ちゃんが視線を落としながら言った。

黒ちゃんはデパート地下街、通称デパ地下の洋酒売り場に勤務している。今日の夕方にその事件は起きた。事件と言えるのかどうかは疑問だが。

「あのね、夕方ね、その筋の恐そうな丸刈りのお兄さんが売り場に来たの。それでね、瓶ビールを呉れって言ったの。」

「ほほう、瓶ビールをね。珍しいねぇ、最近瓶ビール呉れって客少ないのに・・・。」

「うん、そうなの。それでぇ、そのお兄さんに、何本ご入用ですかって、わたし聞いたの。そしたらね、その恐そうな丸刈りのお兄さんが黙って片手を出したの。」

「瓶ビール5本ってことかい?」

僕は黒ちゃんに聞いた。ところが、ところが、黒ちゃんが、とんでもない事をその筋の恐いお兄さんに言ってしまったのだった。ここからまた話がややこしい展開になってしまいます。次回ご期待ください。

 

 

白カラス亭奇談ー銀座のバー白カラス亭6

銀座3丁目、ガス灯通りも午後9時を過ぎて賑やかさを増してきたようだ。ガス灯通りの真ん中の小さなバー、白カラス亭もぼちぼち混みだし、10席のカウンターは奥の1席を除いて満席状態になった。先程から食べる事に夢中だった、デパートの3人娘もやっとお腹が一杯になって、本来の調子に戻ってきたように見えた。

「おいしかったわぁ〜。満足満足・・・

「有難う黒ちゃん。敬ちゃんも律ちゃんも、お腹一杯になった?」

「大丈夫、大丈夫。さ〜て、飲むよ、みんな!」

一番年長の敬ちゃんが号令を掛けたが、真ん中の律ちゃんと一番若い、来年成人式の黒ちゃんが浮かない顔をしていた。

「どうしたの、二人とも浮かない顔をして。」

「そうだよ、何だか変だよ。」

言いながら僕はいや〜な予感を覚えた。今日は開店そうそうに、焼き鳥屋のオヤジからバーボン貸せと言われるし、ニューハーフの登美ちゃんには号泣されるし、今度は何なんだと背中の産毛がざわざわ騒いだ。

2005年12月27日

白カラス亭のクッキー

IMG_0173.JPGクッキーが横から顔をだしました。

IMG_0172.JPGクッキーは畳の部屋が大好きです。

IMG_0171.JPG物思いにふけってます

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2005年12月26日

白カラス亭奇談ー銀座のバー白カラス亭5

銀座中央通りから一本裏に入った、銀座3丁目ガス灯通りの真ん中。小さなバー白カラス亭は今晩も賑々しく営業が始まった。ニューハーフの登美ちゃんの涙交じりの騒動の顛末を聞かされて、僕は客の居ないバーの中で思い出し笑いをした。丁度其処に何時もの3人組がドアを開け、どたばたと騒々しく入ってきた。時計を見た。午後8時30分を回っていた。入って来たのは敬ちゃんと律ちゃんと黒ちゃんの女性三人だが、僕も彼女達の本名は知らない。お互いにそう呼び合っているので僕もそれに倣っているだけだ。三人は銀座中央通りのデパートに勤務している。12月は書入れ時なので退社するのもこんな時間になってしまうのだ。一番年長らしい敬ちゃんが先ず口火を切った。

「あ、白カラスさんったら、何かいいことあったんでしょう!」

「そうそう、判るわよぅ〜、目が笑っているもん。」

敬ちゃんと黒ちゃんとの調度中間の年齢、多分30歳くらいの律ちゃんも同調した。

「目が笑っているって、何んのこと・・・?白カラスさんは顔中で笑っているよ。」

成人式を来年に控えた黒ちゃんがボケてみせた。

「ねぇねぇねぇ、何か食べる物ある?お腹すいてんだ。」

三人が同時に同じことを言った。

「うん、じゃあ特性のニンニクたっぷり、カッペリーニのぺペロンチーノを作ってあげるよ。それとニース風サラダとオタクのデパ地下で仕入れたフランスパン。ローストポークもあるけど、どうする?」

「それも食べるぅ!

一番若い黒ちゃんが真っ先に手を挙げた。

「今日のローストポークは林檎を使ったノルマンディースタイルだぞ。」

「何、何、ノルマンディー上陸作戦??」

「ばーか、ノルマンディースタイルって言ったの。」

「知ってるわよ。ちょっとボケただけ。」

「すべってる、すべってる。会話が成立してない。」

「でもさ、ノルマンディー上陸作戦なんて知ってるって、博学じゃない?」

一番年長の敬ちゃんが僕に向かって言った。

「第二次世界大戦末期、1944年6月米英連合軍がフランスのノルマンディーに上陸作戦を行ったのはかなり常識の世界だと思うけどね。」

僕は彼女達が傷つかないように気を遣い、料理をしながら背中で応えた。

茹で立ての細めんに熱々のオリーブオイルとニンニクと赤唐辛子をさっと絡めて皿に盛った。

「旨っ、これ旨っ。ウワー最高!

三人が声を上げた。

「でもね、ここはバーなんだよ。何か飲んでよ。食事も出すには出すけどさ、本来は白カラス亭ってバーだよ。」

「そんなこと、どうでもいいから、次出して、次。そのロースト何とか・・・。」

敬ちゃんと律ちゃんが口を合わせた。

「ローストポーク、ノルマンディースタイルとニース風サラダ頂戴!

黒ちゃんが叫んだ。

全く騒々しいったらありゃしなかった。ところが、この三人からまたまた、とんでもない事を聞かされるとはこの時想像もしなかった。

さてさて、どんな話がこの三人娘から飛び出したのでしょうか?次回をお楽しみに。

 

 

 

 

2005年12月24日

白カラス亭クッキーの〓

image/akao-2005-12-24T14:47:07-1.jpgimage/akao-2005-12-24T14:47:08-2.jpg我が家のお転婆娘2ヵ月のシーズ犬、クッキーの新しい〓がきました。
posted by 朱尾晃輝 at 14:47| Comment(7) | TrackBack(0) | 日記

白カラス亭奇談ー銀座のバー白カラス亭4

銀座3丁目、ガス灯通りの真ん中にある小さなバー、白カラス亭の騒々しい一日がまた始まった。12月も後半になると客の出足は遅くなる。ところが今日は開店そうそう午後6:00からどうも雰囲気がおかしい。焼き鳥屋のオヤジの次はニューハーフの登美ちゃんだった。

「ねえ、それでどうしたの?」

僕は先をせかせた。

「白カラスさん、もう一杯下さる?・・・・違うのがいいわ。」

「出勤前に大丈夫かい?」

「平気、平気、トム・コリンズにして・・・。」

僕は、ロングタンブラーグラスにドライジン、レモンジュース、砂糖を入れ、ソーダーを満たした。

「はい、トム・コリンズ。でもこれは登美コリンズだよ。ちょっと手を加えたから。・・・で、どうしたのよ。」

「うん、あのね・・・。寝室からへんな声が聞こえたの。それで寝室のドアをそっと開けて中を見て・・・・。」

「中を見て、で、何を見たの。」

僕は興味津々でカウンターから身を乗り出した。

「白カラスさん、そんなに顔近づけたたら、その可愛いお鼻にキスするわよ。」

「あ、あ、あ〜それはいいよ。うん、うん、それで・・・。」

「彼がね、彼がHビデオ見ていたの。」

「な〜んだ、そんなの普通じゃない。どんな男だってHビデオくらい見るさ。」

僕はちょっと退いて言った。

「ううん、違うの。彼ったらズボンを下げて、下げて、それで・・・。」

「え、じゃHビデオ見ながら、独りHをしていたの?」

「あたしもね、あたしも、最初はそう思って、頭にカーっと血が昇って、キッチンに行って、持ち出したの。」

「ま、ま、ま、まさか・・・包丁!」

僕は絶句したまま、固まってしまった。

「何、そんなに驚いているの?包丁?まさかぁ、そんな危ないわよ。大根よ。ぶっとい買ったばかりの大根。それでぇ、その大根もって寝室に飛び込んで・・・。」

「大根かぁ、大根かぁ。そ、それで、どうしたの。」

登美ちゃんはトム・コリンズを勢い良く飲み干して言った。

「飛び込んで、いきなり彼の頭を後ろから、大根で思いっきり殴ったわ。

「殴ったかぁ。そうか殴ったのか。」

「うん、『何が悲しくて独りでマスかきしてんだよっ!』って怒鳴ったの。大根で殴りつけてから、・・・でも、でも、でも。」

登美ちゃんはまた泣き出した。大粒の涙が再びカウンターにこぼれて落ちた。

「違ったのよぅ。違ったてたのよ、あ〜、あ〜、あ〜・・・・」

登美ちゃんは大声で泣き出した。店内に誰も居ないのが幸いだった。

「よしよし、よしよし、泣くのはお止め。何が違っていたの?」

僕は登美ちゃんの背中を優しく、そっと撫でながら言った。

「有難う・・・。白カラスさんって、優しいんだね。あのね、あのね、彼ったらね、Hビデオ見てたんだけど・・・・、最近寒いじゃない?彼ね、寒さで太ももから脚に湿疹が出来てたの。それで、ビデオ見ながら太ももに湿疹の薬を塗っていたの。それを、あたしったら、あたしったら、独りHしてると勘違いして、大根で殴ったの。」

「そうだったのか、でも、Hビデオ見ながら、太ももに薬塗ってりゃ、誰だって勘違いするよなぁ。」

僕は妙に登美ちゃんに同情したくなった。

「うん、でもね。彼が怒ったのは、大根で殴ったからじゃないの。」

「え、大根で殴ったからじゃないの?別の理由で怒ったの。」

「そう。彼ね、大根で殴ったら気絶しちゃって、あたし本当にびっくりしたの。彼死んじゃったかと思って。それで救急車に来て貰ったのね。ズボン半分まで下げた格好で彼は病院に連れて行かれたの。」

「彼、大丈夫だったの?」

「うん、軽い脳震盪だったわ。でもね、ズボン半分下げて、ニューハーフのあたしが一緒に病院でしょう。看護婦さんや先生達の間で私達有名になっちゃったの。」

「そうだろうなぁ〜。そりゃぁ有名人だわ。」

「で、彼が、お前のせいでプライドがずたずたにされたって、怒って出ていっちゃったの・・・・。」

「大丈夫、大丈夫。彼きっと戻って来るよ。」

僕は登美ちゃんを優しく、優しくなだめて、出勤させた。彼女?の背中を軽く押しながら僕は笑いをかみ殺した。今晩はまだ何か起こりそうな予感がした。

 

 

2005年12月22日

白カラス亭奇談ー銀座のバー白カラス亭3

銀座3丁目、ガス灯通りの真ん中にある、小さなバー「白カラス亭」の一日が今日も始まった。焼き鳥屋のオヤジの次に、ニューハーフの登美ちゃんの話を聞くことになった。

「実はね、実は、昨日出勤途中で、マンションに携帯とお財布忘れてぇ、戻ったのね・・・・。」

登美ちゃんは、一気にスプリッツアーを飲み干して、もう一杯欲しいと言った。

「うん、うん、家に一度もどったんだ。」

「そうなの・・・・。」

「で、どうしたんだい?何かあったの、家で・・・・?」

「聞いて呉れる、聞いて呉れる・・・・・」

登美ちゃんは僕が差し出したハンカチでまた鼻をかんだ。チーン!と大きな音がして、登美ちゃんは、僕の顔を恥ずかしそうに見て首を縮めた。

「あのね、部屋の鍵を開けて、奥のベッドルームに行ったの。そしたら、そしたら、彼が、彼が・・・・・

登美ちゃんは絶句した。大粒の涙が丸い瞳からカウンターにこぼれ落ちた。ナット・キング・コールの寂びの有る声がカウンターで独り泣くニューハーフと相手をする白カラス亭主人の間に静かに流れた。

「彼が他の女でも連れ込んでいたのかい?」

登美ちゃんは首を振った。

「違うの、じゃあ女じゃなくてニューハーフ?」

登美ちゃんはまた首を振った。

「どうしたって、言うの。ちゃんと言ってごらんよ。」

僕はちょっといらいらしながら登美ちゃんを叱った。

「ごめんね、ちゃんと説明するね。」

その後の登美ちゃんの話で、登美ちゃんには悪いが僕は笑いを堪えるのに必死になった。では続きはまた次回

2005年12月20日

白カラス亭奇談ー銀座のバー白カラス亭2

銀座のガス灯通りの真ん中に在る、10坪ばかりの小さなバー「白カラス亭」もなんだか、騒々しい一晩が始まった。隣の焼き鳥屋のオヤジにバーボンを1本貸した直ぐ後に、ニューハーフの登美ちゃんが入ってきた。何だか様子が変だ。目の下が腫れていた。

「登美ちゃん、何飲む?」

「出勤前だから、軽いのにして、白ワインのソーダー割りで・・・。」

「ああ、スプリッツアーね。」

店内にはCDの音楽が流れていた。僕は古い曲が好みで特にナット・キング・コールの曲が大好きで、たった今もラブレターを聴いていた。渋いさびのある彼の声に登美ちゃんが、女性顔負けの細く白く長い指でそっと目蓋を押さえた。

「はい、スプリッツアー。・・・ねえ、登美ちゃん。どうかしたの?」

「・・・・・」

登美ちゃんはグラスの液体を一口含んで、僕の顔を見た。

登美ちゃんのつぶらな瞳から大粒の涙が一つ二つとこぼれた。

「あ〜あ、お化粧が台無しだよ。これで拭きな。」

僕はポケットからハンカチを出した。

登美ちゃんはそれで涙を拭いて、チ~ンっと大きな音で鼻をかんだ。

「ハンカチ返さなくていいから。」

「有難う、洗濯して持ってくるね。」

「一体どうしたの、何かあったの?」

「・・・・・うん。」

「もし、良かったら話してみてよ。聞いてあげることくらいは僕でもできる。それに他のお客もいないから。」

「有難う・・・・・・。」

「で、どうしたの?」

「彼、彼がね、彼が出て行っちゃった・・・・・・。」

登美ちゃんの瞳から洪水のように涙がどっと溢れでた

白カラスの家族

image/akao-2005-12-20T00:00:19-1.jpg白カラス亭の新しい家族です。シーズ犬のクッキーです。2ヵ月の女の子です。
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2005年12月18日

白カラス亭奇談ー銀座のバー白カラス亭1

銀座3丁目、銀座中央通りから1本裏に明治時代からのガス灯が残る、ガス灯通りがある。このガス灯通りに小さな白カラス亭という10坪ばかりのバーがある。カウンターだけの小さなバーで10人も入れば一杯になる。しかし架空のバーだから実際には存在しない。今日から白カラス亭主人とお客とのやり取りを何話かに亘って紹介しようと思う。

このガス灯通りには、由緒正しきお店が並んでいる。新規参入の白カラス亭主人は周りの旦那衆に遠慮しつつ控えめにオープンしている。

夕方6時、オープンと同時に隣の焼き鳥屋の親父が飛び込んできた。

「ねぇねぇ、お願いがあるんだけど、ちょっとウィスキー1本貸してくんないかい?」

「え、ウィスキーですか?」

「そうなんだよ、今入って来た客がどうしても、ウィスキー欲しいってんでね。見たらウィスキー切らしちまってんだ。ちょっと走って明治屋まで行くより、オタクから貸して貰った方が早いんで。」

「ああ、そう言うことですか?どうぞ、大概の銘柄だったら置いてありますから。」

「あ、それでいい、それ。」

「それって、それはケンタッキーウィスキー、I.W.ハーパーですけど。」

「構わないってことよ。ケンタッキーだろうがフライドチキンだろうが、ウィスキーだったらなんでもいいんだよ。」

「本当にいいんですか?スコッチじゃなくてアメリカのバーボン。正確に言うとケンタッキー・バーボンですが・・・。」

「いいの、いいの。うちでウィスキー呉れってのが間違ってんの。うちは日本酒か焼酎しか置いてないんだから。じゃ、ちょっと借りるよ、悪いね・・・・・。」

焼き鳥屋のオヤジは僕の言うことを半分も聞かないで出ていった。

「悪いねって、・・・・返して呉れるんだろうなぁ?

焼き鳥屋のオヤジと入れ違いに、今度はニューハーフの登美ちゃんがドアから中を覗いた。

「こ〜ん、ばんわ。だれも居ないのぉ〜。入っていい?」

「ああ、登美ちゃん。どうぞどうぞ、今だれもいないよ。

「う〜ん、じゃちょっと、入る。でもぉ、もう出勤時間な〜んだよね。」

「あ、そおう。でも一杯いいじゃない。」

「じゃあ、一杯ね。白カラスさんて、上手いんだから。」

「え、何が上手いって。」

僕は驚いてニューハーフの登美ちゃんの顔を見た。

登美ちゃんの目蓋が腫れぼったいのに気が付いた。

では、続きは第二話をお楽しみに!

白カラス亭ーうちのクッキー

うちに昨日、一匹の仔犬が家族に加わりました。10月13日生まれのシーズ犬です。2ヶ月の女の子ちゃんで、名前をクッキーとつけました。

夫婦二人で、てんやわんやなんです。ウンチの始末、食事の世話、暖房、照明、まるで人間の赤ちゃんをおんなじです。

環境に慣らす為、ここ二・三日は出来るだけ、知らん振りをするようにドッグショップで言われました。

でもあの瞳でじっと、見つめられると、つい抱っこしてあげたくなります。

躾けの第一歩って結構、大変ですね。

今度クッキーの写真も掲載します。

posted by 朱尾晃輝 at 14:23| Comment(4) | TrackBack(1) | 日記

2005年12月16日

白カラス亭の俳優好き嫌い

サラリーマンを辞めて、家での仕事をするようになったら、ビデオを見る機会がものすごく増えた。

「24」のシーズンXが出来上がっているらしい。ジャック・バウアーはどうなったんだろうか?主演のキーファー・サザーランドのオーバーアクションがちょっと凄過ぎって感じがするが、本人は静かな人間らしい。タバコ吸い過ぎって思うのは僕だけ?

ジョニー・デップの作品を最近沢山見たけど、あの視線が妖しいというか結構行っちゃってる。視点が合ってないような気がするのは僕だけ?

二コール・キッドマンの若い頃からの作品も沢山見たけど、綺麗な顔立ちで、結構裸にもなる。演技力はいまいちって感じがするのは僕だけ?

僕の一押し俳優はニコラス・ケイジだ。あの垂れ目が、見ている観客の心をくすぐる。「ああ、あんただったら、OKだよ。」ってな感じで許してしまう。そう思っているのは僕だけ?

マイケル・ダグラスの演技は素晴らしいと思う。親父さんのカーク・ダグラスはちょっと大根っぽかったと思うのは僕だけ?

高橋英樹さん、赤い着物で、越後製菓のお餅の宣伝、できたら辞めて欲しいですね。貴方はあのような宣伝には向いた方ではないです。はっきり申し上げて貴方のは一本調子の演技なのですから、バライティーにはむきません。桃太郎侍で通して下さいって思うのは僕だけ?

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2005年12月15日

白カラス亭の広告掲載決定

白カラス亭主人、朱尾 晃輝の「イザナを継ぐ者」の広告宣伝が2006年1月6日(金)発売の雑誌「ダ・ヴィンチ」に掲載されます。ちいちゃな広告かも知れませんが宜しくお願いします。見てくださいね。
posted by 朱尾晃輝 at 01:27| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記

2005年12月14日

白カラス亭奇談ーなんでこんな目に7−

悪夢の一夜が明けた。社員旅行二日目の朝は晴天だ。朝風呂を浴びる者、散歩をする者、この社員達の顔を見ていると、大人しく温和で、まるで昨夜とは別人のようだった

僕は、総支配人に礼を言おうと探したが、見つからなかった。フロントに総支配人に会いたい旨を伝え、社員旅行二日目の移動の用意を始めた。

バスに飲み物、おつまみ、お菓子等々を手分けし、積み込んだ。

出発時間が近づき、社員がバスの駐車場に集まり始めた。やはり朝ということもあって、社員はわりと静かに整然とバスに乗車してくれた。社員のテンションは低かった。

「よしよし、テンションの低いままで居て呉れよ。このまま、このまま

僕は心の中で祈るように言った。

さて、全員、社員がバスに乗車し、さて出発と思った矢先だった。先頭の車両のバスガイドが僕を呼んで走ってくるではないか!

「ええっ、また何か事件発生??

僕の背中に悪寒が走った。

「幹事さん、添乗員が見つかりません!

「何ですって、添乗員が居ない?

「そうなんです、そういえば、今朝まだ一回も顔を見てないんです。」

僕は慌てて、旅行社が派遣した添乗員を探した。フロントで添乗員の部屋に電話を入れたが、出ない。ホテルの従業員にホテル中を探して貰うことにした

白髪の総支配人が、疲れきった顔で僕の前に現れた。目の下に黒い隈ができていた。

「もう、出発なさったと、ほっとしたところでしたが、まだ出発されてないのですか?」

「ええ、実〜は、旅行会社の添乗員が見つからないので・・・・。」

「あ〜あ、なんてこった。今度は旅行会社の方がトラブルですかぁ?

白髪の総支配人はフロントから電話を掛け、添乗員を早急に発見するように指示し出した。と言うより喚き散らし、電話に八つ当たりを始めた。

時間は刻々と過ぎて行く。このままでは二日目のスケジュールが大幅に変更になる。1時間が過ぎた。

更に30分後、よれよれのスーツに青い顔をした男性添乗員がふらつきながら現れた。後ろから総支配人が付き添っていた。

「どうしたんですか、出発時間を1時間30分も過ぎてるじゃないですか!

僕は添乗員に向かって怒鳴った。

「す、す、すいません。寝坊してしまいました。」

「実は、社員の方々に誘われて、夜明け近くまで飲んでまして・・・・。」

「何ですか、僕は散々な目にあって困っていたのに、貴方は社員と酒を飲んでいたんですか!」

「すいません。申し訳ないです〜ぅ・・・

添乗員は小さくなって、うなだれていた。

「だけど、あんたの部屋に何度も電話をしたし、見にも行って貰った。一体全体何処にいたんだ。」

「そのう、酔ぱらちゃって、自分の部屋が判らなくなくってぇ・・・・何時の間にか、宴会場に入っちゃって、それで、そのまま舞台裏で眠っちゃったんですぅ。」

「判った、何て無責任なんだ。東京に帰ったら、ゆっくりお宅の社長と話しをしましょう。」

僕は、添乗員に文句を言った後、総支配人にお詫びを言った。総支配人は無表情で僕に答えた。

「二度とお会いすることはございません。御社のご利用は今後固くお断り申し上げます。

僕は返答のしようもなく頭を下げて、ホテルを出た。

1時間30分も出発を待たされた200名の社員のブーイングは想像を絶するものだった。後にも先にもこのような悪夢のような経験は初めてだった。

ホテルを去るバスの中から、僕は振り返りながら、心の中で叫んだ。

「何で、こんな目に会わなきゃいけないんだっ!

 

2005年12月12日

白カラス亭奇談ーなんでこんな目に6−

さてさて、人身事故とは穏やかではありません。湯冷めするどころかメマイまでしてきました。一体全体どうなっているのでしょうか?

「人身事故ですって!ど、どうして先に僕に連絡呉れなかったのですか

僕は金切り声を上げた。多分上げたのであろう。白髪の総支配人が疲れきった顔で僕に言った。

「散々、貴方を探しましたが、貴方は何処にもいらっしゃらなかった。何度も館内放送で呼び出しました。」

「す、すいません・・・・・。露天風呂ですっかり良い気持ちで、うとうとしていたようです。」

「怪我をされた社員の方を直ぐ救急車で病院に運びました。」

「と言いますと?うちの会社の社員が怪我をしたのですか?」

「そうです、おたくの女子社員の方が、調子にのってディスコで踊って、アキレス腱を切ってしまったのですよ。」

「ええっ、 うちの女性社員がアキレス腱を切ったのですかぁ?今度は女か・・・」

「その通りです。裸足で踊って、飛び上がって着地した際にですね、裸足なもんで、急ブレーキが脚にかかったんですな。それで切ってしまったんです。」

「ああ、良かった。てっきりうちの社員がホテルの従業員かそれとも他のお客様に怪我を負わせたのかと思いました。うちの社員でしたか・・・・・。」

「良かったとは、どういう事ですか!救急車で運ばれて、手術が必要なんですよ。全く、散々ですな。ディスコのシャンデリアは壊すわ、救急車で運ばれるわ。女風呂に男が侵入するわ、港で泳いで漁協からは怒られ、警察からはお目玉を頂戴する。言っちゃなんですが、おたくの男性社員も女性社員も最低ですわ。」

白髪の総支配人の顔が赤くなったり黒くなったりした。怒りを必死で抑えているのが簡単に理解できる人だと僕は心の中で思った。

「今回、おたくの会社を世話して下さった、旅行エージェントさんには二度とお付き合いをしたくないと申し上げますので。」

「そ、それより僕も直ぐ、その病院へ行きますので、病院の場所はどこですか?」

「もう、居ませんよ。病院には。」

「えっ、????っだって病院に救急車で運ばれたって仰ったじゃないですか?」

「確かに救急車で直ぐ近所の病院に運びました。とりあえず痛み止めの注射を打って、応急処置を施し、東京のご自宅の近くの病院に入院するため、タクシーで帰りました。タクシーはホテルで手配しましので、後日一緒に請求させて戴きます。荷物は同室の女性の方にお願いしてあります。」

タクシーで東京へですか?」

「そうです。タクシーで東京へ是非帰るとのご本人の強い、ご要望がございました。タクシー代は恐らく5〜6万円になると思います。」

「ひえっ!5〜6万円もするんですか?」

「それぐらいはするでしょうな。なんせ深夜料金も掛かりますんで。普通だったらタクシーだって東京まで行ってくれませんよ。このホテルの信用でお願いしたんです。この私の信用で・・・・。」

「あ、有難うございました。色々とご迷惑お掛けしました。」

僕はうなだれて、自分の部屋に戻った。時計はとっくに深夜零時を回っていた。

早く朝になって、無事朝食を済ませて、この悪夢の温泉地を離れたかった。でもまだ、トラブルは続いたんです。

2005年12月10日

白カラス亭モノローグ

銀座の師走は本当に騒々しかったです。ま、金曜日の夜ってこともあります。

銀座4丁目コアビル6Fのブックファーストで自分の本「イザナを継ぐ者」が売られているのを見ました。そりゃ嬉しいに決まっているじゃないですか。なんと、なんと、あの大作家でいらっしゃる内田康夫さんの本の隣に積まれて置いてあったのですよ。

作家デビューして最初の本が本屋に積まれていたのです。この嬉しさは作家でなければ判らないかもしれないねぇ。ま、作家のマスターベイションだよね。

しかし、本が売れなきゃ、作家はご飯が食べられないのです。そこで、私は決めました。アルバイトします。ラブレターが上手に掛けない方。怨みつらみを上司や恋人や夫や妻や嫁や姑に直接言えない気の弱い方。是非一度私にご相談下さい。私が責任をもって、ラブレターや離縁状の代筆をいたしまっせ。(ここだけ関西弁)

代筆の結果は自己責任でお願いします。

皆さん、私の本「イザナを継ぐ者」ー新風舎刊ー買って下さいね

そして、感想をお願いしま〜す

posted by 朱尾晃輝 at 01:58| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2005年12月09日

白カラス亭奇談ーなんでこんな目に5−

今日一日の厄払いにと独りで、西伊豆の温泉で露天風呂に浸かっていた僕は悪魔のごとき放送に再びフロントに向かった

「もう、嫌だ!もう止めて!もう結構だ!もう死んじまえ!もうどうにでもして呉れ!」僕は心の中でありったけの罵声を吐いた。

フロント前でまた、あの白髪の総支配人が仁王立ちで僕を待っていた。

「あのう〜今度は何を、やらかしたのでしょうか?」

僕は恐る恐る、揉み手を10回くらいしてお伺いを立てた。白髪の支配人は僕に黙って紙を差し出した。明らかに彼の眼差しは僕を非難していた。

「あ、あ、あのう〜、これは何でしょうか?」

僕はそっと紙を受け取り、紙面の内容を見た。

「損害賠償における承諾書?あ〜ん、何ですか、これは・・・・・?」

総支配人の声は、僕の耳に冷たい響きを持って聞こえた。

「ご覧の通りです。当ホテルにおける損害賠償責任を引き受けるとの承諾書です。」

「えぇぇっ!損害賠償責任ですって・・・・・。」

「その通りです。貴社の社員の方が当ホテルの器物、設備を破壊いたしました。後日原状復旧の工事を行いますので、その請求書を送らせて戴きますが、その前に当ホテルに損害を掛けたことと、原状復旧工事に取り掛かることの承諾を頂戴したいと思います。」

僕は総支配人に連れられて、地下一階にあるホテル内のディスコクラブに行った。ディスコは既に終了していて、社員は誰も居なかった。但し床一面に散らばったガラス片が異常を示していた

「お宅様の社員の方が、ディスコダンス中、調子に乗りすぎて、テーブルの上でズボンのベルトを抜いて振り回し、あろうことか天井のシャンデリアを尽く破壊して下さいました。」

「ひぇ〜、じゃこのガラスはシャンデリアを壊した破片で?」

「そうです。明日工事業者を呼んで、見積もりさせます。このシャンデリアの破片の片付け作業、新規シャンデリアの作成と取り付け工事一式、更にはこのディスコクラブの休業補償代を請求させて頂きます。」

「は、はい・・・・。あのう少しまけては下さいませんか?」

「え?何ですと。まけてくれないか?ですって!貴方は何を仰ってるんですか。まだ続きがあるんですよ、続きが。」

白髪の総支配人は私をギロッと睨み付けた。僕は亀のように首をすくめた。

「ぎぇ〜!まだ、あるんですか?シャンデリアだけじゃなかったんですか?」

「ええ、大有りです。シャンデリアは物損ですみますが、もう一件は人身です。

「な、な、なんですって!・・・・・・。

僕は絶句してしまった。多分顔は湯上りの筈なのにきっと、真っ青になっていたと思う。

果てしなく続く、悪魔の社員旅行はどうなるのでしょうか、次回お楽しみに。

 

2005年12月07日

白カラス亭奇談ーなんでこんな目に4−

アメリカの人気TVドラマ24Hoursじゃないけど、一日の中でこんなに事件が凝縮して起きるとはまさに、今日は最悪の厄日となった。さてさて、前回の続きである。

警察から事情聴取を終えて、疲労が全身に溜まっていた。宴会はどうにか始まっていて、お決まりのつまらない挨拶や乾杯は既に済んで、酒宴で盛り上がっていた。

浴衣姿の女性の艶かしさを通り越し、たるんだ太もも露わな女性の、酔っ払い軍団に絡まれそうになった僕は、宴会場を抜け出した。なんたって、宴会場の9割は女性で男は見る影も無かった。女風呂に突入したのがせめてもの抵抗だったのだ。

幹事が消えてしまった宴会は自然に終了した。社員はそれぞれ、また風呂に浸かる者や二次会のカラオケにと分散した。

今度は僕だけの時間だぞ!散々な目に遭った今日一日の疲れを、この西伊豆の温泉で癒すことができる。露天風呂の湯船に浸かり、目を瞑り、ほぅ〜!っと長い溜め息をつき至福の時間を味わった。目の前の海からは潮の香りが運ばれ、潮騒が夜の風に乗って聞こえて来た。「幸せ、幸せ・・・・!」今日も一日なんとか終わりそうだ。そう思った僕の耳に悪魔の声が響いて聞こえた。

○○○会社の幹事様、至急1階フロントまでお出で下さい。繰り返します○○○会社の・・・・・・・・・・・・・・」

僕は耳を両手で覆った。今度は何が起きたんだ

僕は泣く泣く、温泉から出て、フロントに向かった。

まだまだ続くとんでもないハプニングにホテルも僕も唖然とした。

2005年12月04日

白カラス亭奇談ーなんでこんな目に3−

事件はまた、続いて起きた。嫌〜な予感が的中した。フロントでは、頭をかきむしる総支配人とその横に潮焼けした黒いお顔の男性が二人、更に怒りで、顔中どす黒くして、フロントに近づいてくる僕を睨んでいた。おまけに二人ともK-1に、直ぐにでも出場可能な立派な肉体を持っている。

「うわ〜、怒っている!うわ〜どうしよう。このまま逃げちゃおう。」なんて僕は心の中で嘆きつつ、処刑場に引き出される罪人の気持ちを思った。総支配人が僕を二人に紹介する言葉を遮るように二人の男が同時に怒りを僕に向けて爆発させた。

「おめぇが、責任者か!なんてぇ事をしでかすんだ、おめぇ等はそれでも社会人か。」

二人の大男の怒声がロビー中に響いた。ロビーに居たお客様全員が我々を振り返った。

「え、え、え、え、ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと、待ってください。何がなんだか、なんで貴方がそのように怒っていらっしゃるのか、全く理解してないのですが・・・・・・?」

とたんに怒りはホテルの総支配人に向かって飛んでいった。

「な〜んだと、こら、支配人!おめぇは何もまだ説明してなかったんか!」

「す、す、すいません。まだ何も・・・言っておりませんでした。あの〜う、この方々は此処の漁協の理事の方々でして・・・・そのぅ。」

総支配人が鳩のように白い頭を下げたりあげたり、脳溢血でも起こすんじゃないかと、現実離れした考えが僕の脳裏を走った。総支配人の言うことも何か要領を得ない。

「んじゃ、俺が説明してやる。このホテルの目の前の港、俺達の漁港だ。この漁港で、たった今泳いだ男が二名おるんだ。ひっ捕まえて、交番に連れてった。」

「えっ、まだ4月なのに泳いだんですか?寒かったろうなぁ・・・。うちの社員なんで・・・?」

僕はあっけに取られてしまった。けっして気温は高く無いのに「もう泳いだの??」

「何だと、馬鹿野郎。何寝ぼけたこと言ってんだっ!」

僕の心の中で思ったことが、つい言葉になって出てしまった。そう思った時は遅かった。男の丸太のように太い腕が僕の胸倉を掴んで、なんと片手で僕を吊り上げてしまった。僕の足は完全に床から浮いた状態だった。なんて糞力だと関心してしまった。

「す、すいません。ちょっと、下ろしてください。これじゃ話もできませんし、恐ろしくて漏らしそうですので、穏やかにお願いします。」

僕は本当にびびりながら、言った。声が震えているのが判った。

「お、泳いじゃいけなかったんですね?」

「あ、あ、あったり前だ。ここは漁港だ。漁船がひっきりなしに入港してんだ。事故にでもなったら、どうすんだ。誰が責任取るんだ、お前頭悪いんじゃないか?」

この後、彼等の怒りが静まるまで、延々と彼等の罵声と説教を聴かされた。次に警察に事情聴取に呼ばれ、男性社員を2名引き取りに交番に出向く羽目になった。

ホテルに戻った時に、宴会は既に始まっていた。二度もこんな目に遭わされて、本当に心身ともに疲労が、頭のてっぺんから爪先まで、びっしりと充満した気分だった。ところが、事件は更に続いたのだった。

では、Part4をお楽しみに。